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儲けの仕組みを長続きさせる秘訣/実行力を引き上げる人事のツボ

  • 業種 企業経営
  • 種別 レポート

中長期的な競争優位を築くためには、何が必要か

ビジネスモデルとは、自社の商品やサービスなどの付加価値を提供し、それによって儲けを得る仕組みです。そして成長力の高い顧客には、ビジネスモデルに他社との明確な違いがあります。
これが競合他社に対する競争優位性を築く“差別化戦略”です。例えば、差別化要素の例として下記が挙げられます。

  • 「商品の機能が他よりも優れている」
  • 「サービスの提供スピードがどこよりも速い」
  • 「競合より特許を多く保有し、独自の製品を開発できる」

差別化の要素とその程度は、会社ごとに異なります。これがビジネスモデルの強さを左右します。

ただし、単にビジネスモデルが強いだけでは、他社による模倣や市場環境の変化の影響を受け、短期的な競争優位性にしか繋がりません。

5年、10年、20年と、中長期的な競争優位を築きたい場合、ビジネスモデルの強さ以外に必要なものは何でしょうか? その先に、何を目指すべきでしょうか?

専門性の高い人材が標準化された業務を行う

中長期的な競争力を持つ企業は、ビジネスモデルの強さだけではなく、高度な専門性を発揮する人材育成の仕組みがあります。

ビジネスモデルがしっかりした企業では、誰がやっても利益が出る仕組みを作っているものです。企業規模が大きくなるほど、社員のスキルや能力への依存を避け、業務やオペレーションの標準化が進みます。品質の安定や生産性向上に資するため、標準化自体は悪いことではありません。むしろ、安定した事業運営のために、標準化は進めるべきです。

しかし、標準化には大きな罠があります。

  • 標準化が進めば進むほど、社員は仕事の目的や意義を考えなくても成果を出せてしまい、考える力が弱体化します。
  • また、効率性を追求するあまり、顧客志向が下がったり、スキルや技術を持った社員のモチベーションを低下させてしまうことがあります。
  • さらには、過度な標準化は外部環境の変化への対応が鈍くなり、気付かぬうちに企業を弱体化させていきます。

そうならないために重要になるのが、標準化に並行して「高度な専門性を発揮する人材を育成する仕組み」を築くことです。

私のお客様には、月に1回業務マニュアルの見直しを行ったり、顧客の要望に合わせて標準化された業務を意図して壊すよう推奨している企業があります。これぞ、専門性の高い人材が標準化された業務を行う見本といえます。

余談ですが、私の部門責任者は、事あるごとに「陽泉酒家の伝統とは何だ!?」「伝統を壊すことでございます!」と、漫画『中華一番』の名台詞を引用し、既存業務の抜本的見直しを喚起しています(笑)

「標準化を意図して壊せる人材」が、中長期的な競争力

chatGPTなどAIの台頭が著しい中、誰でもできる仕事はテクノロジーに代替されるリスクが高まっています。また、単なるオペレーション業務は外注化する動きが加速しています。

AIによる代替化、外注化の脅威に晒されるのは、標準化に慣れきった専門性を持たない社員です。特別なスキルや専門知識を持たず、労働市場で買い叩かれる人材は「コモディティ人材」と表現されることがあります。誰でもできる仕事、その会社でしか評価されないような仕事をしている場合、その人材は安さを売りにした人材です。

どの業界も見渡す限り人手不足ではありますが、専門性で勝負しない限り、その人材は価格で勝負するほかないのです。

社員のことを大切にしたい経営者は、専門性が高く、付加価値の高い仕事ができる人材を増やすことに注力すべきです。ビジネスモデルが強い企業であれば、尚の事です。

私のお客様でも、「半年間で○○領域のプロフェッショナルを育てる体制」「2年間で大企業の○○部長並みの実務力を養う」などと、育成のコンセプトを明確にし、高度な専門性習得に強みを持った企業があります。

すぐに身につくスキルはすぐに陳腐化するため、時代を超えて共通する専門性や、最新のスキルを絶えず習得することを支援するのが良いでしょう。経営者が専門性を磨く支援をすることで、「標準化を意図して壊せる人材」が育ち、中長期的な競争力を確保できます。

転職市場が活況な時代、社員の専門性と市場価値を高める会社こそ、定着率の高い企業です。そして、高度な専門性を発揮する人材育成の仕組みは、他社が模倣するのは困難で、最も差別化された強みになります。

当社の人事評価制度構築支援では、貴社の保有する「違い」を明確にして、標準化と専門性の両輪を回すことができる育成の仕組みを構築します。

優秀人材の行動をあぶり出し、「標準化を壊す提案」を推奨し、意欲ある人材を積極的に抜擢できるよう設計します。

是非、ご相談ください!

このレポートの解説者

波多野裕太(はたのゆうた)
株式会社 日本経営 コンサルタント

東日本の企業に対して、人事制度の導入・見直し、組織文化・風土の改革、人事改革を通じたグループガバナンスの構築、キャリアパスの作成などの業務に携わる。顧客層はスタートアップから上場企業までを幅広く支援。
「笑顔溢れる組織作り」をモットーに、現場に深く入り込んだ支援で定評がある。明るいキャラクターと起爆剤としての熱量が武器。

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。


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